文字踊る、味噌煮込み。『たから』愛知・名古屋



「生煮え」とは、味噌煮込みうどんにつきまとう偏見の代表だ。たしかに観光客向けのお店にはアルデンテ的なものもある。初めて食べた人が偏ったイメージを持ってしまうのも無理ないが、象徴として果たしてきた役割はとてつもないものだし、私自身は結構好き(余談)。どんな土地にも象徴の裏側に“日常”がある。なじみのない食べ物であれば、なおさらそれらの存在も心に留めて向き合いたいものだ。

大須は下町風情とサブカルが混ざるいい街である。大須観音からすぐの門前町通りに「味噌煮込み たから」ができたのは1954(昭和29)年のこと。

創業から変わらない名物「味噌にこみ」。15分ほど待ち、そろそろと運ばれてきた土鍋は、熱々のぐつぐつ! 蓋の間から味噌の泡が沸き立ち、「たから」の文字まで躍り出しそうだ。

せーのっと蓋を開ける。勢いよく立ち上る味噌の甘辛い香りに鼻の奥がきゅんとすぼみ、口の中が生つばでいっぱいになった。裏返した蓋に麺を移し、はふはふ、ずずっ。平打ち麺のもちっとした噛み応えがたまらない。

味噌のコクとキレがいい塩梅で、今もこうして思い出しては味噌の口。お腹に余裕があればご飯を頼む。何をするかは、もうお分かりですよね。

ごちそうさまでした。

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