茹でと溶けの絶対領域を見た。「伊予路」(東京・東新宿)



東新宿。大久保通い沿いにおもしろいうどんを出すお店があります。韓国料理店が建ち並ぶエリアで静かにはためく白い暖簾。「関西風手打ちうどん 伊予路」が創業したのは40年以上も前のこと。

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店名から推測されるとおり、愛媛出身の大将が作る一杯は、そのおっとりとしたお人柄を表したような平和なうどん。実は、麺の質感に特徴があります。

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この日注文したのはきつねうどん750円。不揃い具合が愛おしい手打ち麺は、一言でいえば「とろとろ」。表面のつや、伸び方ともにもはやうどんを超えてワンタンのよう。唇に触れるや吸い込まれるように口中へ侵入してくる麺。続いてその麺で上顎全体をねっとりとなぞられるような感覚に、うっとりむふふ。「茹で」と「溶け」の間の絶対領域を堪能しました。

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かけつゆは昆布を柱に置いた西の味。丸みを帯び、とろとろ麺や揚げとの一体感も上々です。福岡と違って関東では溶け領域に足を踏み入れたうどんは貴重な存在。「伊予路」さんにはどうやら後継者がいないというお話も聞き少しさびしい気持ちですが、近くに用があるときはできるだけ足を運ぼうと思います。柔うどん好きの方はご賞味あれ。

ごちそうさまでした。

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