16/03/13

食感の秘密は無塩にあり!味噌煮込みうどん「山本屋本店」(愛知・名古屋)


2年前、ひょんなことから競輪の取材仕事が舞い込み、月に1度は特別競輪の取材で地方へ出張していました。この日は最後の競輪仕事で名古屋へ。名古屋といえば味噌煮込みうどん。味噌煮込みうどんといえば「山本屋本店」。じつは「山本屋」を冠する味噌煮込みうどん店には「山本屋本店」と「山本屋総本家」がありまして、この2つが名古屋味噌煮込みうどん界における双璧のような存在であります。

両者はまったくの別もので、公式HPをざっくり見比べると創業は前者が明治40年に対し後者は大正14年、店舗数は前者が14軒に対し後者は9軒、といった具合にちょいちょい違いがあります。

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話を戻し、今回訪れた「山本屋本店 エスカ店」は名古屋駅地下と便利な場所にあり、地元の方というより他県からの来店客の方が多い店舗。メニュー豊富でノーマルをはじめ、モツや名古屋コーチンが入ったもの、季節限定メニューにも力を入れています。今回選んだのは、冬季限定の牡蠣入り味噌煮込みうどん(3/31迄)。牡蠣にはめっぽう弱いのでございます。

茹で置きせず、生麺を味噌出汁と煮る味噌煮込みうどんは一般的なうどんに比べてできあがりに時間がかかるのが常。そのため、チャクラを練って待つのもよいですが、私的には漬物をいただくのがおすすめです(無料だし)。

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漬物には淡口醤油をかけるのが同店流。これがまぁさっぱりしていていい具合にお腹の準備ができるわけですね。脇目もふらずうまいうまいとつまんでいると、絶妙のタイミングでおかわりを勧めてくれます……できる! ただご存じの方も多いとは思いますが、淡口の方が濃口より塩分が多いので色が薄いからといってかけ過ぎ注意です。

日頃の不摂生を挽回するべく、ここぞとばかりに漬物を2周分貪り食ったところでうどん登場。

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「蓋をお皿にしてお使いください」。そうそう。先ほどまでがんがんに火にかけられていたお鍋から直接食べるのは至難の技……ということで蓋にうどんを取り、良きタイミングでいただきましょう。

すするというよりわしわしと口に運ぶと、力強くたくましい食感で歯を押し返してきます。あぁこの野太さがいいのよ。全国には個性的なうどんがたくさんあるけれど、この歯ごたえや粉感は本当に特徴的。やわ麺党の私も名古屋に来るとM(味噌)N(煮込み)U(うどん)モードがオンになるから不思議です。

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この食感にはちゃんと秘密があります。本来うどんは小麦粉・水・塩から作られますが、味噌煮込みうどんに限っては塩を使いません。なぜ? 実は麺を茹でる間に80~90%の塩分が溶け出るため、生麺から煮る味噌煮込みうどんに塩を使ってしまうと、食べるころには相当塩辛くなってしまうから。

じゃあ何のための塩なんだ、という話になりますが、味つけなどではなくあくまでコシを感じさせるグルテンの働き(=生地をつなぐ)を強化するサポート役として塩を使うにすぎません。つまり、実際のところ塩がなくとも小麦粉が持つグリアジンとグルテニンというたんぱく質が水と反応すればグルテンはできてしまうんですね。ただし形こそうどんにはなりますが、長時間茹でても柔らかくならずコシも生まれず、粉っぽい食感のままというわけです。でもこれこそが味噌煮込みうどんを味噌煮込みうどんたらしめる最大の特徴。

という余談はさておき。

うどん以外も良かったです。牡蠣はプリプリの大ぶりサイズが5つも! カツオ節香るお出汁も味噌のほのかな酸味も◎。

(隣で「ッヒ!フハァ……」と外国人男性が鍋から直にすすっていてかわいそうだったので、蓋をお皿代わりにすることを外国人の方にも伝えてあげた方がいいんじゃないかなと。つたない英語で食べ方を教えたら超お喜びあそばしていました。英語表記のメニューは用意されているので、彼らが日本での思い出に火傷を刻まずに済むよう、山本屋本店さん、ぜひ!)

ごちそうさまでした。


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