17/07/27

幻の小麦「伊賀筑後オレゴン」でうどんを打ってみた


イガチク――ちょっと聞き慣れない響きの小麦粉だ。「素材舎」さんからいただいたのをきっかけに先日、初めて打ってみた。正式名称は「伊賀筑後オレゴン」という。妙に立派な名前だが、忍者で知られる三重県伊賀市生まれと聞き、納得。そして、軟質の筑後小麦と硬質のオレゴン種(グルテンが多い)を交配させた品種と聞き、また納得。

大正時代に開発されたイガチク。生育環境に適した信州などで親しまれていたが、外麦や新品種の普及につれ、収量性の低さや栽培の難しさから今では「幻の小麦」としてすっかり貴重な存在になってしまった(これをパスタで出すお店もあるそうだが。興味ある)。

さて、今回のデータは以下のとおり。実は前日、イガチク100%で初めて打ったところ、予想はしていたものの恐怖の「麺バラバラ切断事件」が起こったので、改良してみた(こういう粉は切れやすいのだ……)。

■使用粉:伊賀筑後オレゴン(50%)+めんたくみ(50%)+もち小麦(50%)

■加水率:52%

■ボーメ:12.1

■熟成:6時間

■茹で:10分

なお、もち小麦のレポート記事はこちら。「変態小麦」と呼ばせてもらっているもち小麦は、粉袋に手を突っ込むと肌に吸いつくような絹のような感触があったが、イガチクはややざらざら。「素材舎」さんの小さな機械で製粉され、全粒粉までいかないもののかなり灰分が残っている状態だ。

それにしても水和させるときに立ち上る香りが格別にいい。一人にもかかわらず「ムアー!」と雄叫びを上げたほど(マジ)。

ご覧のとおり、湯に入れた瞬間、薄灰色から薄茶色に変化。武蔵野うどん的な食欲をそそる色だ。こうくれば、食べ方も田舎らしい肉汁一択でいくしかない。冷水で締めた麺に、豚バラ肉とひらたけの肉汁を合わせてみた。

麺のアップ。ぬめっとそそるような質感や美しい麺線はもち小麦の特性。また、イガチク100%で打つと見事に灰色の麺ができあがるが、今回は3分の1程度のため麺全体がうっすら茶色を帯びている。そのなかには茶色のふすまも。さて、気になる出来は。

まず肉汁なしで食べてみる。もち小麦のねっちゃりとした歯ざわりの奥からじんわり素朴な甘みを感じる。味が濃い。求めていた田舎っぽさに心が躍る。肉汁に浸してみる。ああ大正解。キノコの風味と肉のコクたっぷりのつゆが麺の風味を倍増させ、鼻から香りが抜けていく。ずばり、うまい!(なぜ柚子皮も入れなかったのだと激しく後悔している)

翌日は温かくして食べてみた。具材は同じく豚肉とひらたけ。

ぐあ~こちらも美味しい! どちらかという冷たい方が好みだが、こっちもイケる。

いいなあイガチク。ただ、やはりもち小麦の量はもう少し抑えた方が一般受けするだろう。今回の3分の1でも十分ねっとり吸いつくような食感なので、伊賀筑後オレゴンの良さを立たせるならもち小麦は5分の1くらいでもいいはず。

イガチク君。外麦や内麦との組み合わせでさまざまな表情を見せてくれそうな可愛いやつだ。


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