17/06/15

タコのように吸いつく怪しい質感。「もち小麦」で打つ変態うどん


桑名産の「もち小麦」という粉を使ってみました。結論から言うと……どうっっしようもない【変態向け】うどんになります。あ~本当びっくりした。農研機構に登録されたのは2000年(開発はもっと前ですが)と新しい小麦なので、特産に推している三重以外で使っているお店は珍しいもち小麦。大変おもしろい粉だったのでご紹介します。

もち小麦をご存知ない方も多いと思うので、ちょっと前置きします(まだまだ勉強中ですが……)

もち小麦とは“もち性”の小麦のこと(※ほとんどの小麦は“うるち性”です)。現在、あけぼのもち/はつもち/うらうらもち/もち姫の4品種がありますが、もち米なんかと違い、小麦においては遺伝子配列の複雑さからもち性のものは東北で開発されるまで自然界に存在しなかった超新星です。近年は開発当時より製粉性がぐっと上がり、特に第二世代といわれるもち姫は実戦に耐えうる品質だとか。

三重を中心に大きく期待されるもち小麦。最大の特徴は名前のとおりもちもちとした食感といわれています。これはアミロースというデンプンの含有量が関係しており、低アミ小麦として知られるチクゴイズミなどの九州ものよりアミロースが少ないそうです。“低GI値うどん”として注目される日も近いんじゃないかなと思います。

前置きが長くなりましたが、そんなもち小麦100%で打つうどんとは一体!? 使うのは初めてなので加水率やボーメなど手探りです。

■使用粉:「もち小麦」(桑名産)

■加水率:46%

■ボーメ:7.9

■熟成:24時間

■茹で:12分

▲粉はしっとりした絹のような手触りでいつまでも触っていたいくらい

▲気持ち太めに切ってみました。包丁の刃の入り方も普段使うASWとは全然ちがくてびっくり! なにコレ!

▲さあ、どうやって食べようかな

シンプルにざるうどんにしてみました。いや~氷水で締めるときに麺を触って驚きました。まるで命が吹き込まれたかのように、ぬらぬらと怪しい動きで指から逃げていくのです。一般的に「生命感」というと躍動するようなイメージだと思うのですが、“じゃない方”の静かなる生命感。むにゅむにゅねっとり~お前を見てるぞ~な感じ。ねじって盛り付けてもダレていくのでここでも苦労しました。おぬし……まさか本当に生きているんじゃ……。

見た目からは水分をたっぷり含んだ瑞々しい質感なことが予想できます。そして、輝き。麺の表面に光が反射し、「ぬらぬら」という擬音を付けたくなります。

意を決して(?)口に運びます。すると唇に触れたその瞬間、タコの吸盤のように「ムッチュン!」とハードな吸いつき。いやいや! 落ち着いて落ち着いて。時間はたっぷりあるから。

となだめるも、口に入るや舌に絡まるわ、歯の裏側まで舐め回してくるわ……井上、完全に劣勢です。こりゃまずいと反撃に出ようと歯を入れるも、低反発ベッドに埋まるかのように歯がもっちりと沈み込んでいくではありませんか。いやあああ飲み込まれるううう。むっちゅんねっちゅん。もち肌もびっくりの質感に完全にもてあそばれています。で、気づけば虜に。本当に不思議な体験です。

また別日には冷やかけで。

見た目はきりっといい女風。

ね、上品そうなエロスが漂いますよね? でも蓋を開ければとんでもない痴女(誉め言葉です!)なんですよ、これが。まあ水や塩は私の加減なので少しは私のせいかもしれないけど。

実戦では単体ではなく「ちょっと加える」くらいの感覚で十分かもしれません。というのは、本当にユニークな食感なんですが、やっぱり個性的すぎて(笑)そこまで挑戦せずとも、従来の粉に「ちょっと加える」だけで食感革命が起きるはず。うどんだけじゃなくパンやお菓子の生地、または餃子の皮にもよさそうです。

特徴を捉えれば食感の可能性が広がりそうなもち小麦。これからも注目したい小麦粉の一つです。あ~面白い!

 


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