17/06/09

お天道様の下で味わう。「お寺うどん」(埼玉・飯能)


『散歩の達人』2017年2月号のうどん特集にて1ページ目にご登場いただいた埼玉・飯能の「お寺うどん」さん。ちょっと他にはない店名の由来については後々触れるとして、ここ「お寺うどん」では運が良ければ看板猫のコタロウに会えるかもしれません。

お店があるのは、飯能市山手町の「観音寺」の境内。駐車場の隅っこに建つ小さな小さな小屋。ロケハンで訪れた際、その素朴な構えに一目惚れしてしまいました。ここは、受け取ったうどんを丸太イスに座っていただく“青空うどん店”なのです。

どこからともなく現れる茶トラの子猫・コタロウが見られたら、その日はきっといい日。自由奔放なコタロウを店主の美代子さんが「だめよ、コタちゃん」と優しく叱る光景がなんと微笑ましいことか。取材時には遊びたい盛りの子猫だったコタロウも少し大きくなったかな。

もともとご夫婦で飲食店を営んでいた美代子さん。観音寺の住職が常連だった縁から、2016年春、境内にあった小屋でうどん屋を始めることになったそうです。それで、お寺の一角にあるから「お寺うどん」。

メニューは温か冷のぶっかけのみ、1杯300円。薄灰色の麺は、埼玉県産の小麦粉「農林61号」だけを使い、長年の相棒であるレトロな製麺機で毎朝美代子さんが打ちます。「官能的なしなやかさ」や「強靭なコシ」といったカッコイイ形容詞を取り払った“スッピン”のうどんといいましょうか、素朴で気負いがなく私は好きです。季節によって醤油の塩梅を調整しつつ、昆布と鰹節から引いた出汁をきりっと端麗に仕上げたつゆもいい具合。

ぜひお天気のいい日に、お腹を空かせて行くことをおすすめします。青空の下、まっさらな舌に小麦の甘みがどれだけありがたく染み入ることか。

ごちそうさまでした。

※ちなみに、お店の前で「むさしの」の幟が揺れているけれど、これは製粉会社から贈られたものということで、美代子さん曰く「小麦の風味は大切だけど、とくに武蔵野うどんのようなたくましい麺じゃないわよ~」とのこと。


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